首都圏マンション市場 2020年3月

不動産経済研究所の⽉次データの発表です。

⾸都圏での新築マンションの発売⼾数は前年同⽉⽐で▲35.8%の2,142戸でした。契約率(発売したマンションが成約に⾄った率)は70.0%で先月より上昇し、好不調の分かれ目と⾔われる70%に7か月ぶりにのせました。1⼾当たり価格は6,156万円、㎡単価は97.3万円でそれぞれ前年同⽉⽐▲6.0%、+2.7%となりました。

数量ベースが大幅減、一方価格ベースのデータは総額が減少の単価が上昇ですので、強弱入り混じった数字です。

日本経済・社会の直近の動向を見ると、インバウンド景気を牽引してきた訪日外国人旅行者が3月には▲93%になるなど、事業活動や国民生活への新型コロナウイルスの影響がデータにあらわれはじめています。

このような環境下で売上が低迷するインバウンド関連企業を中心に、社員の一部解雇や自宅待機要請の動きがみられるなどマンション需要者層の雇用・所得環境が悪化しており、高額なため長期の返済を要する住宅ローンを利用してのマンション購入には向かい風となっているものと思われます。

新型コロナウイルスの感染拡大は自然現象のため収束時期など将来の予測は困難で、発売戸数が2月に続き3割以上の減少となっていますが、契約率が好不調の目安とされる70%にのせたのは好材料です。

先行きを見ると、4月7日には緊急事態宣言が首都圏の1都3県を含む1都7県について発出されたため、外出および営業自粛要請による首都圏マンション市場への影響が今後さらに本格化してくるものと思われますが、宣言により新型コロナウイルスの感染者数増加に歯止めがかかれば5月以降の市況の回復も見込めそうです。