首都圏マンション市場 2019年5月
不動産経済研究所の月次データの発表です。
首都圏での新築マンションの発売戸数が前年同月比で10.4%減でした。契約率(発売したマンションが成約に至った率)も60.0%と好不調の分かれ目と言われる70%を下回りました。 一方、1戸当たり価格は6,093万円、㎡単価は89.4万円でそれぞれ前年同月比で+1.0%、▲0.1%でした。
数量ベースのデータがマイナス、価格ベースのデータは総額がプラスの単価がほぼ変わらず、ということですので引き続き強弱入り混じった感があります。
月上旬の大型連休が影響したという意見もありますし、米中貿易摩擦に起因する将来見通しの不透明感も需要に影響していると思います。
大企業を中心にIT化による人員の削減(配置転換・新規採用の抑制による自然減を含む)が将来の所得環境に対する不透明感を生んでいる部分もあると思います。
住宅の自己取得用ローンであるフラット35の投資用不動産に対する不正転用融資問題の影響で金融機関が個人向け不動産融資全般について慎重姿勢に転じているのではないか、という点は今後も懸念されます。
事業融資の需要が低迷する中、個人向けの住宅ローンは貸し倒れ比率も低い有望分野ですが、それだけに当局も自己所有目的の融資の投資用物件の転用には目を光らせ続けると思われます。
新築マンションに限らず不動産は高額ですのでローンの利用が一般的であり、新規融資の流れが滞り始めると住宅市場が変調する可能性もありますので、引き続き動向を注視する必要があります。