住宅着工戸数 2021年2月

住宅着⼯⼾数データ

2⽉の住宅着⼯⼾数は60,764⼾で前年同⽉⽐▲3.7%、季節調整済年率換算では前⽉⽐+0.8%でした。

このデータはさらに「利⽤関係」によって内訳が示されています。

前年同月比季節調整済
前月比
持家+4.3%+1.5%
貸家▲0.8%+13.2%
分譲住宅▲14.6%▲13.9%

前年同⽉⽐で見ると持家は4か⽉連続の増加、貸家は30か⽉連続の減少、分譲住宅は15か月ぶりに増加した後の減少です。分譲住宅については前年同月比データのみ分譲マンション・分譲一戸建住宅の内訳が公表されており、マンションが▲27.5%、戸建住宅が▲4.0%でした。

データの⾒⽅

前年同月比で見ると持家が3か月連続で増加したものの貸家は2年以上も減少が続いています。また、分譲住宅は先月大幅増だったマンションが大幅減となっています。よりトレンドの変化を素早く反映する季節調整済前月比では持家が微増、貸家が大幅増加、分譲住宅は大幅減少です。

2月の着工分は契約が昨年12~今年1月のものが中心となり、前年同月比で比較対象となる2020年2月の着工は消費税増税前の2019年10月から消費税率が10%に引き上げられた後の時期に対応することから、比較ベースが下がってきています。また、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が報じられ始めたのも昨年の2月ですので、この点でも比較ベースは今後も下がってきます。

これら要因をうけて、前年同月比は持家がプラスの上に、貸家もほぼ横ばいになってきています。分譲住宅は大幅マイナスですがマンションは変動が激しく、1月が大幅増だったことを考慮すると大きな不安材料ではないでしょう。

利用関係別では、持家については金融緩和の状態が継続する中、雇用環境が悪化すれば自宅が賃借であっても不安は伴うので低金利下で購入しておいた方が良いという心理も働き、より低価格の郊外の土地を購入して持家を建築するといった需要は持続しているものと思われます。

貸家はその逆、同じコインの裏側で、上記の通り新型コロナウイルスによる収入の減少で賃料が支払えなくなるリスクを考慮すると住宅ローンを借りて持家を取得してもリスクは変わらないという考え方が広がってくると市場が相対的に縮小することになりますが、前年同月比では比較ベースは今後も下がってきます。季節調整済前月比では大幅プラスに転じています。

分譲住宅は特にマンションの減少が顕著で、持家と同様に雇用環境が悪化すれば自宅が賃借であっても不安は伴うので低金利下で購入しておいた方が良いという心理に加え、テレワークが定着する中で低価格の郊外物件に需要が認められます。ただ、月次データで見るとある程度の振れは今後もあるでしょう。

以上をまとめると、データとしては持家・貸家は改善、分譲住宅は月次では大幅減ですが月次変動の範囲内と思われます。