住宅着工戸数 2020年11月

住宅着⼯⼾数データ

11⽉の住宅着⼯⼾数は70,798⼾で前年同⽉⽐▲3.7%、季節調整済年率換算では前⽉⽐+2.3%でした。

このデータはさらに「利⽤関係」によって内訳が示されています。

前年同月比季節調整済
前月比
持家+1.5%+7.8%
貸家▲8.1%+5.3%
分譲住宅▲6.1%▲6.0%

前年同⽉⽐で見ると持家は16か⽉ぶりの増加、貸家は27か⽉連続の減少、分譲住宅は13か月連続の減少です。分譲住宅については前年同月比データのみ分譲マンション・分譲一戸建住宅の内訳が公表されており、マンションが+0.7%、戸建住宅が▲10.5%でした。

データの⾒⽅

前年同月比で見ると持家が16か月ぶりに増加に転じたモノの貸家・分譲住宅は減少しています。ただ、よりトレンドの変化を素早く反映する季節調整済前月比では持家、貸家の増加率が上がってきています。

11月の着工分は契約が9~10月のものが中心となり、政府のGoToキャンペーンなどが功奏し景況感が改善し始めた時期です。一方、前年同月比で比較対象となる2019年11月の着工は消費税増税前の2019年10月から消費税率が10%に引き上げられた後の10月頃の契約を含むことから、比較ベースが下がってきているものと考えられます。 結果として、前年同月比は持家がプラス、貸家・分譲住宅ともマイナス幅が縮小しています。

利用関係別では、持家については11月の失業率が2.9%と前月の3.1%から改善、有効求人倍率も1.06倍と前月比0.02ポイント上昇しており、雇用・所得環境の改善が見られること、前年同月との比較で昨年10月に行われた消費税増税の影響が概ね一巡したこと、感染症拡大による繰り延べ需要が顕在化しつつあること、などが改善の要因として考えられます。

貸家は、新型コロナウイルスによる収入の減少が入居者の賃料支払能力を低下させるとの懸念は根強いものの、季節調整済前月比ではプラスに転じています。

分譲住宅は9月にはプラスとなった季節調整済前月比でも先月から下落に転じており、感染拡大などでマンション・建売業者の既存在庫の商談が減って売れ行きが低迷すると、資金繰りや売れ行き見通しの悪化懸念から新規物件の着工を抑制する可能性があり要注意です。

以上をまとめると、データとしては持家・貸家・分譲住宅とも前年同月比では消費税増税の影響が一巡しつつあり、雇用環境の改善もあって季節調整済前月比持家、貸家は増加、分譲住宅は再度減少基調になっています。