住宅着工戸数 2020年10月

住宅着⼯⼾数データ

10⽉の住宅着⼯⼾数は70,685⼾で前年同⽉⽐▲8.3%、季節調整済年率換算では前⽉⽐▲1.6%でした。

このデータはさらに「利⽤関係」によって内訳が示されています。

前年同月比季節調整済
前月比
持家▲6.1%+1.3%
貸家▲11.5%+0.5%
分譲住宅▲9.6%▲8.0%

前年同⽉⽐で見ると持家は15か⽉連続の減少、貸家は26か⽉連続の減少、分譲住宅は12か月連続の減少です。分譲住宅については前年同月比データのみ分譲マンション・分譲一戸建住宅の内訳が公表されており、マンションが▲0.9%、戸建住宅が▲16.3%でした。

データの⾒⽅

前年同月比で見ると持家・貸家・分譲住宅のいずれも減少していますが、よりトレンドの変化を素早く反映する季節調整済前月比では持家、貸家が微増となっています。一方、先月大幅なプラスだった分譲住宅はマイナスにもどっています。

10月の着工分は契約が8~9月のものが中心となり、政府のGoToキャンペーンなどの施策により景気に対する不安感が払しょくされるなどし始めた時期です。一方、前年同月比で比較対象となる2019年10月の着工は消費税増税前の2019年10月から消費税率が10%に引き上げられることを受けて増税前の駆け込み需要が顕在化した8~9月頃の契約で、こちらは比較ベースを高くする要因です。 結果として、前年同月比は持家、貸家、分譲住宅ともマイナスになっています。

利用関係別では、持家については10月の失業率が3.1%と3年5か月ぶりの水準に上昇し、有効求人倍率も1.04倍と前月比0.01ポイント上昇しており、雇用・所得環境の悪化により需要者層が住宅ローンを借りて持家を建てることをためらうことの影響が危惧されます。

貸家は、新型コロナウイルスによる収入の減少が入居者の賃料支払能力を低下させるとの懸念から金融機関が融資に慎重になるなどの要因から、新たに賃貸物件を建築することをためらう動きが続いています。

分譲住宅については、9月は季節調整済前月比では回復基調であったものの再度下落に転じており、感染拡大などでマンション・建売業者の既存在庫の商談が減って売れ行きが低迷すると、資金繰りや売れ行き見通しの悪化懸念から新規物件の着工を抑制する可能性があり要注意です。

以上をまとめると、データとしては持家・貸家・分譲住宅とも前年同月比では消費税増税の影響が見られるものの、7月以降の政策の影響もあって持家、貸家は微増、分譲住宅は再度減少基調になっています。ただ、雇用環境は依然厳しく本格的な回復が見通せる状況ではありません。