首都圏マンション市場 2020年6月
不動産経済研究所の⽉次データの発表です。
⾸都圏での新築マンションの発売⼾数は前年同⽉⽐で▲31.7%の1,543戸でした。契約率(発売したマンションが成約に⾄った率)は73.2%で先月より上昇し、好不調の分かれ目と⾔われる70%を4か月連続で超えました。1⼾当たり価格は6,389万円、㎡単価は96.9万円でそれぞれ前年同⽉⽐+7.1%、+5.4%となりました。
数量ベースは依然減少が続いていますが、価格ベースのデータは総額・単価ともに上昇です。
5月25日に新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が解除されたことから、6月に入って経済活動は徐々に回復しています。マンションショールームも感染対策を講じた上で営業を再開し始めているようです。
日本経済の直近の動向を見ると、インバウンド景気を牽引してきた訪日外国人旅行者が4、5月に続き6月も▲99.9%になるなど、需要の全面的な回復には至っていません。
発売戸数は減少となっていますが、モデルルームの稼働画順次再開しているもの感染症に対する懸念も根強く、来訪者数は完全には復調してはいないようです。開発業者が選択的に物件を発売したこともあり価格は単価・数量とも上昇し、契約率が好不調の目安とされる70%を超えたのは好材料です。
先行きを見ると、モデルルームの稼働を含む経済活動は順次再開するでしょう。ただ、社会経済活動の正常化は感染症の再拡大を招くおそれもあります。緊急事態宣言解除後も需要が回復しないなどビジネスモデルの転換を迫られている業種も見られ、完全失業率の上昇や有効求人倍率の下落など雇用環境の悪化見通しが発売戸数回復の妨げとなることもありそうです。