首都圏マンション市場 2020年4月
不動産経済研究所の⽉次データの発表です。
⾸都圏での新築マンションの発売⼾数は前年同⽉⽐で▲51.7%の686戸でした。契約率(発売したマンションが成約に⾄った率)は78.9%で先月より上昇し、好不調の分かれ目と⾔われる70%を2か月連続で超えました。1⼾当たり価格は6,216万円、㎡単価は102.0万円でそれぞれ前年同⽉⽐+5.4%、+9.6%となりました。
数量ベースが大幅減、一方価格ベースのデータは総額・単価ともに上昇ですので、強弱入り混じった数字です。
日本経済・社会の直近の動向を見ると、インバウンド景気を牽引してきた訪日外国人旅行者が4月には▲99.9%になるなど、事業活動や国民生活への新型コロナウイルスの影響がデータにあらわれはじめています。
このような環境下で売上が低迷するインバウンド関連企業を中心に社員の一部解雇や自宅待機要請の動きがみられ、4月の完全失業率は2.6%、有効求人倍率は1.32倍と雇用環境が悪化しています。マンションは高額なため長期の返済を要する住宅ローンを利用しての購入が一般的で、このような雇用環境の悪化はマンション市場に向かい風となっているものと思われます。
発売戸数は大幅な減少となっていますが、営業自粛によりモデルルームが稼働できなかったことが特に影響しているようです。開発業者が選択的に物件を発売したこともあり、契約率が好不調の目安とされる70%を超えたのは好材料です。
先行きを見ると、緊急事態宣言の解除によりモデルルームの稼働は順次再開するでしょう。ただ、需要面では完全失業率の上昇や有効求人倍率の下落など雇用環境の悪化見通しが、供給面では水回りを中心とする建設資材の物流目詰まりが、新型コロナウイルス感染拡大の第二波・第三波への不安と併せて発売戸数回復の妨げとなることもありそうです。