住宅着工戸数 2020年2月
住宅着⼯⼾数データ
2⽉の住宅着⼯⼾数は63,105⼾で前年同⽉⽐▲12.3%、季節調整済年率換算では前⽉⽐+7.2%でした。
このデータはさらに「利⽤関係」によって分類して内訳が示されています。
あなたが⼯務店に家を建ててもらった後に⾃分で住む予定であれば「持家」、テナントを募集して賃貸する予定であれば「貸家」、あなたがマンション開発業者や建売業者で建てたマンション・家を販売する予定であれば「分譲住宅」になります。
この利⽤関係でみたのが以下の表です。
前年同月比 | 季節調整済 前月比 | |
持家 | ▲11.1% | +10.0% |
貸家 | ▲18.9% | +0.3% |
分譲住宅 | ▲3.9% | +12.8% |
前年同⽉⽐で見ると持家は7か⽉連続の減少、貸家は18か⽉連続の減少、分譲住宅は4か月連続の減少です。分譲住宅については前年同月比データのみ分譲マンション・分譲一戸建住宅の内訳が公表されており、マンションが+2.4%、戸建住宅が▲7.9%でした。
データの⾒⽅
前年同月比で見ると持家・貸家・分譲住宅のいずれも減少していますが、よりトレンドの変化を素早く反映する季節調整済前月比を見ると持家・貸家・分譲が全て増加しています。
前年同月比は消費税増税前の2019年2月と消費税増税後の2020年2月の数字の比較ですのである程度の減少はやむを得ないでしょう。一方季節調整済前月比は前月つまり今年1月との比較であり、2月の着工分はほぼ2か月前つまり昨年12月前後の契約分、1月の着工分は同じく11月前後の契約分と考えられますのでいずれも消費税増税の影響が表れた数値となり、消費税増税後のトレンドは堅調と言えます。
先行きを考えると、まず持家については特に月後半はコロナウイルスの影響で外出を控える方が増えて商談が減少していると思われます。
貸家は、一昨年(2018年)からの投資用物件にかかわるサブリース業者の破綻や違法建築など一連の不祥事の悪影響は一巡していますが、先行きの見通しとしては貸家購入ローンの申請に関する書類の偽造など新たな不祥事が2020年1月に報道されており、この問題が再度クローズアップされるとより一層金融機関が融資に慎重になり2月以降の契約分、つまり3月以降の着工に影響を及ぼす可能性があります。
分譲住宅については、コロナウイルスの影響でマンション・建売業者の既存在庫の商談が減って売れ行きが低迷すると、資金繰りや売れ行き見通しの悪化懸念から新規物件の着工を抑制する可能性があり要注意です。
以上をまとめると、データとしては持家・貸家・分譲住宅とも前年比では消費税増税の影響は見られるもののそれを除くと堅調に推移しています。
一方まだデータには表れていませんが、コロナウイルスの影響については商談が減少する、工事のための人繰りがつかなくなる、サプライチェーンの寸断により建設資材の確保が難しくなる、開発・建売業者の資金繰りが悪化する、などの要因から持家・貸家・分譲住宅の全てについてマイナス材料ということになります。