信用保証実績 2020年2月

信用保証実績データ

2⽉の信用保証実績が発表になりました。

全て前年同月比の変動率です。

件数金額
保証承諾▲3.2%▲2.5%
保証残高▲4.8%▲3.0%
代位弁済+7.6%+8.8%

保証承諾は当月新たに保証を行った件数・残高です。

保証残高は過去の保証分を含めて当月末時点で残存する件数・残高です。過去に保証しても当月末時点で既に保証が終わった部分は含ません。

代位弁済は、保証協会が債務者(お金を借りた人・会社)にかわって金融機関に債務(借金)を弁済した件数・金額です。本来お金は借りた人・会社が金融機関に払うべきなのですが、失業して収入がなくなった、主要取引先が取引を他社に乗り換えてしまった、などの事情で借りたお金を約束通りに金融機関に払えなくなった場合に、保証協会がお金を借りた人・会社に代わってあらかじめ締結した保証契約に基づいて金融機関にお金を払って借金を肩代わりしてくれるのです。

不動産市況と代位弁済

不動産市況の見通しを立てる上で特に重要なのは代位弁済の動向です。

不動産は高額ですので、お金を借りて購入するのが通常です。その場合、お金を貸す金融機関が注目するのが借り手の返済能力です。

代位弁済はお金を借りた人・会社が借りたお金を約束通りに金融機関に払えなくなった場合に行われるのですから、人や会社の借金の返済能力がどういう状態にあるかの指標となります。

代位弁済が減少していれば社会全体でみて返済能力は向上しているのでより借金がしやすくなり不動産市況を支えるお金が供給されやすくなります。一方、代位弁済が増加していれば社会全体でみて返済能力は低下しているのでより借金がしづらくなり不動産市況を支えるお金が供給されにくくなります。

金融情勢と不動産市況は表裏一体なのです。

データの見方

代位弁済が保証承諾・保証残高とともに横並びで増えているのであれば、経済は成長軌道にあると考えることもできます。ところが、2月のデータでは保証承諾・保証残高は金額・件数ともに減少しているのに代位弁済だけが増加しています。これは、個人・会社の借金の返済能力が低下していることを示唆します。

2019年10-12月期のGDPがマイナス成長だったうえ、1月から日本でも感染が拡大し始めた新型コロナウイルスの影響などで雇用環境や会社の資金繰りが悪化している可能性があります。

今後、新型コロナウイルスによる景気悪化の対策として政府の大型の財政政策などが発動されるものと思われます。これが個人や会社の返済能力の回復につながっていくかどうか、来月以降の代位弁済のデータにより確認していくこととなります。