首都圏マンション市場 2019年10月
不動産経済研究所の⽉次データの発表です。
⾸都圏での新築マンションの発売⼾数は前年同⽉⽐で-29.5%の2,007戸でした。契約率(発売したマンションが成約に⾄った率)は42.6%で、8月は好不調の分かれ目と⾔われる70%を5か月ぶりに上回ったのですが、9月、10月と下回っています。1⼾当たり価格は5,992万円、㎡単価は91.4万円でそれぞれ前年同⽉⽐+1.0%、+2.9%でした。
価格ベースのデータは総額・単価ともにわずかにプラスですが、数量ベースのデータはマイナス、特に契約率の40%台を見ると市況は悪化したと言っていいでしょう。ただ、消費税増税後の最初の月ですので落ち込みは想定の範囲内といえます。
労働需給は全体としては引き続き人手不足感があり失業率は低位安定していますが、有効求人倍率(季節調整済み)は5月以降下落基調です。⼤企業を中⼼にIT化による⼈員の削減(配置転換・新規採⽤の抑制による⾃然減を含む)などの雇用構造の転換が将来の所得環境に対する不安を生むという状況は今後も続くでしょう。
住宅の⾃⼰取得⽤ローンであるフラット35の投資⽤不動産に対する不正転⽤融資問題の影響で⾦融機関が個⼈向け不動産融資全般について慎重姿勢に転じているのではないか、という点も引き続き懸念されます。
事業融資の需要が低迷する中、個⼈向けの住宅ローンは貸し倒れ⽐率も低い有望分野ですが、それだけに当局も⾃⼰所有目的の融資の投資⽤物件の転⽤には目を光らせ続けると思われます。
新築マンションに限らず不動産は⾼額ですのでローンの利⽤が⼀般的であり、新規融資の流れが滞り始めると住宅市場が変調する可能性もありますので、消費税増税の影響も併せて引き続き動向を注視する必要があります。