首都圏マンション市場 2019年8月

不動産経済研究所の⽉次データの発表です。

⾸都圏での新築マンションの発売⼾数は前年同⽉⽐で+21.1%の1,819戸でした。契約率(発売したマンションが成約に⾄った率)は75.4%で、好不調の分かれ目と⾔われる70%を5か月ぶりに上回りました。1⼾当たり価格は6,405万円、㎡単価は89.5万円でそれぞれ前年同⽉⽐+19.5%、+13.6%でした。

数量ベースのデータはプラス、価格ベースのデータも総額・単価ともにプラスということですので市況は改善方向と見て取れます。いよいよ消費税増税が迫ってきたことによる駆け込み需要のが顕在化しはじめたという側面もあるでしょう。

⽶中貿易摩擦について改善傾向が見られたことによる安心感もありそうです。9月に入ってからは米政権内で対外強硬派とされたボルトン国家安全保障担当補佐官が解任されたことで、米中摩擦の緩和期待は今月も持続しそうです。

一方、労働需給は全体としては引き続き人手不足感があるものの、⼤企業を中⼼にIT化による⼈員の削減(配置転換・新規採⽤の抑制による⾃然減を含む)などの雇用構造の転換が将来の所得環境に対する不安を生むという状況は今後も続くでしょう。

住宅の⾃⼰取得⽤ローンであるフラット35の投資⽤不動産に対する不正転⽤融資問題の影響で⾦融機関が個⼈向け不動産融資全般について慎重姿勢に転じているのではないか、という点も引き続き懸念されます。

事業融資の需要が低迷する中、個⼈向けの住宅ローンは貸し倒れ⽐率も低い有望分野ですが、それだけに当局も⾃⼰所有目的の融資の投資⽤物件の転⽤には目を光らせ続けると思われます。

新築マンションに限らず不動産は⾼額ですのでローンの利⽤が⼀般的であり、新規融資の流れが滞り始めると住宅市場が変調する可能性もありますので、引き続き動向を注視する必要があります。