宅地造成工事規制区域ってなに?【不動産鑑定士が解説します】

不動産屋さんのウェブサイトや店頭などで物件情報を見ていると「宅地造成工事規制区域」という記載を見かけることがあるかと思います。一体何なのか分からないと不安に思うかも知れませんので解説します。

何が規制されるのか

宅地造成工事規制区域内において規制されるのは文字通り宅地造成の「工事」です。

準拠法は「宅地造成等規制法」で、この法律の目的(立法趣旨)は宅地造成工事に伴う安全の確保です。

宅地造成ってなに?

宅地を造成することです(まんまですね)。法律上の定義をみていきます。

宅地とは?

宅地とは建物を建てることができる状態にある土地で、正確には「建物の敷地およびその維持もしくは効用を果たすための土地」と定義されます。なので山林や農地、湖沼は宅地ではありません。

造成とは?

造成とは a. 宅地以外の土地を宅地にするために b. または宅地において行う次の工事です。

  1. 高さ2m超の崖を生じる切土(土を削ること)
  2. 高さ1m超の崖を生じる盛土(土を盛ること)
  3. 切土と盛土を同時にして2m超の崖を生じるもの(ただし盛土により生じる崖が1m以下)
  4. 上の1~3以外で切土または盛土をする土地の面積が500㎡超のもの

なお、以上・以下はその数字を含みますが、超・未満はその数字を含みません。

また、3でなぜ盛土により生じる崖を1m以下に限定しているか、つまり1m超のものは除かれているかと言うと、もしも盛土が1m超であれば既に2に該当しているから重複を避けるためにこうしているのです。

同様に、4で1~3以外としているのも1~3に該当すれば面積にかかわらず造成となるからです。

切土・盛土は併せて「土地の形質の変更」と呼ばれることがあり、他の法令にも出てきますので覚えておくと便利です。

具体的な規制は?

山林の斜面を削って平坦にして宅地にしたいといった場合(上のaに該当します)には斜面の上の方の切土や斜面の下の方への盛土、つまり土地の形質変更が必要になります。

このような形質変更のための工事を宅地造成工事規制区域内で行おうとする場合、その工事が上の1~4に該当するならば工事の着手前に都道府県知事の許可を受ける必要があります。

許可を受けるためには当然申請が必要になりますので、知事(実際には都道府県庁の担当職員)がその内容を精査して宅地造成工事に伴う安全が確保されているか否かを検討することになります。

まとめ

宅地造成の工事に関する規制ですので、購入を検討している物件が宅地造成工事規制区域内にあったとしても何も工事をしないでそのまま利用する場合には特に心配する必要はありません。

ただし、工事を行うことが予定されている場合にはそれが先ほどの1~4に該当するかどうかを調べる必要があります。