あなたの土地はどこまで?【不動産鑑定士・測量士補が解説します】
土地が道路と塀に囲まれている場合、その塀の位置が境界だと思っていませんか?
実は必ずしも塀の位置が境界ではありませんので、どのようにしたら正しい境界の位置がわかるかを解説します。
越境の具体例
不動産鑑定を20年以上やっていると越境、つまりお隣さんの塀や建物が評価の依頼を受けた土地の境界を越えて設置されているのを見ることがあります。
上の写真の塀の位置と赤の矢印の位置を下の写真で確認してみてください。
金属製のプレートと塀の位置がずれているのが分かります。
この金属製のプレートの位置が土地の境界で、塀はそこから少し左側に設置されています。
なぜこの金属プレートの位置が土地の境界だとわかるのかというと、「地積測量図」という図面によって確認できたからです。
本来の境界である金属プレートの位置を超えて壁が設置されているのですから越境ということになります。
地積測量図を取得する
土地の所在と地番
地積測量図を取得する際に土地の「所在」と「地番」というものが必要になります。
土地は登記(法務局という役所の公式記録に記載)されていて、必ず他の土地と区別できるようになっています。
例えば東京都千代田区丸の内1丁目1番1、といった感じです。
サッカー、野球、バスケットボールなどで、チームと背番号が特定されればどの選手かわかりますよね?引退されましたが大リーグのシアトルマリナーズの背番号51番ならイチローさん、とか。あれと同じです。
千代田区丸の内1丁目がチーム名(所在)、1番1が背番号(地番)です。
背番号が選手を他の選手と区別するためにつけられた番号であるのと同じように、地番は土地を他の土地と区別するためにつけられた番号です。同じ所在では同じ地番は使ってはいけないことになっていますので、所在と地番によって必ず「この土地」と特定することができます。
所在と地番は、もしお手元にあなたの土地の登記事項証明書や登記済権利証があれば載っています。わからなければ法務局に行って「ブルーマップ」という地図を貸してもらって場所を特定して「この土地の所在と地番が知りたい」と相談してみてください。
法務局は役所ですので必ず「管轄」があります。土地の所在・地番がわからない場合はあなたの土地を管轄する法務局に行ってください。管轄はネットで調べられます。電話で聞くこともできますがしばらく待たされることがあります。
地積測量図の交付申請
土地の所在と地番がわかれば地積測量図を取得することができます。法務局で申請して、またはインターネットの登記情報提供サービスを利用して取得します。有料です
ただ、必ずしもすべての土地について地積測量図が供えられているわけではないので事前に法務局に電話確認しましょう。インターネットの登記情報サービスを利用する場合には地積測量図が供えられていないときは請求手続き中にその旨表示されますのでわかります。
現況と照合する
地積測量図を取得したら現況と照合します。
今上の図の1番1の土地を調べているとしましょう。この土地はいくつかの点で囲まれていて、その間の距離が示されています。また、これらの点が何かを示すのかが図右下の凡例に示されています。
コンクリート杭はこのようなものです。
プレートは以下のようなものです。
鋲は以下のようなものです。
これらを手掛かりに境界線をたどっていくと、あなたの土地がどこまでなのかがわかるのです。
まとめ
今ある塀の位置などであなたの土地の境界が決まるわけではありません。あなたの土地や隣地が長い年月の間に売買等が繰り返され色んな人たちによって利用されているうちに、塀の位置などが本来の境界とずれて設置されたりしている可能性があります。
もしも心配であれば、地積測量図を取得して確認してみてはいかがでしょうか。