東京の街並み【秋葉原の凄さ】
不動産鑑定の視点から秋葉原の何が凄いかというと人通りの多さです。曜日・時間帯を問わず人がたくさん行き来していて、その場所で商売をしたらどれだけ繁盛するかという商業繁華性がとても高いのです。
不動産は地域を形成していてその立地から移動することができないから「不動」産なのです。そして地域の特性は個別物件のオーナー単独の努力では変えることができない外部環境です。ですから商業地域で繁華性が高いというのは好条件の一つであり、地域の地価を支える要因です。
具体的に解説していきます。
タウンウォッチング
神田→秋葉原
これが神田から秋葉原に向かっての街並みです。交差点の両端に見えるのが東京メトロ神田駅の出入り口です。
ここで建物に注目してください。
看板がほとんどないこと、低層は店舗利用だけれども中高層は事務所利用であることがわかります。
これが建物のアップの写真ですが、1階がコンビニ、2階が事務所あるいは接客店舗、3階以上は事務所と見受けられ物販や飲食店舗ではなさそうです。普通のオフィス街の光景ですね。
ここから秋葉原方面に向かいます。
中央に見える高架の手前が神田、奥が秋葉原です。街の雰囲気や建物の外見が全く違うのが分かります。
萬世橋の手前から見た秋葉原です。橋の上に観光バスが何台も停まっています。
看板をみると低層から高層まで店舗が入居していることが分かります。
物販店のみならず飲食店舗も地下から高層階まで入居しています。
店舗は歩いて入れる1階や地階はともかく建物の高層階となるとよほど繁華な街でないと集客できません。
しかも飲食店舗は昼よりも夜の方が圧倒的に客単価が高いので、夜も人通りの多い街でないとここまで高層階に入居するということはありません。
なぜここまで集客力があるかというと、それは秋葉原が街の差別化に成功しているからだと思います。渋谷、新宿、池袋とはまた違った「秋葉原でなければならない何か」があるのです。
マンガ、フィギュア、専門性の高い電気機器などこの街でなければ手に入らないものがあるということが秋葉原の強みで、だからこそ観光地化するのだと思います。
都心部の、しかもこれだけ広くて普段交通量が多い道路を数時間も歩行者天国にするのは、他には銀座くらいではないでしょうか。
東京三大祭りの一つ、神田祭りです。神輿に乗っておられる2人の表情が素晴らしい!神輿や衣装と背後の街並みのコントラストが秋葉原ならでは。
こちらは女性部隊。重くて大変なのでしょうが、楽しそうな表情が素晴らしい!
秋葉原→末広町
秋葉原からさらに北上して末広町の方に向かっていくとまた街並みが変わってきます。
看板がめっきり減って、中高層階が事務所利用になってきます。
東京メトロ末広町駅を通り過ぎて100mほど先から秋葉原方面を振り返ったのがこの写真です。
道路両側の建物がすっかり普通の低層店舗・中高層事務所ビルに戻っているのがわかります。
感想
不動産鑑定では地域の現状と将来の見通しを検討するのですが、これを地域分析と呼んでいます。
秋葉原は昔から電気街として知られ、JR山手線、京浜東北線、総武線、東京メトロ日比谷線が交わる交通ハブでもあるために昔から繁華性の高い独特の文化のある街だったのですが、経済全体が低成長に移行し衰退する街もでてくるなかで秋葉原の繁華性が維持された理由は「変化を恐れずに街が進化したこと」だと思います。
かつてヨドバシカメラが秋葉原出店を発表した時は「地元の電気製品店が壊滅的打撃を受ける」などと言われました。
確かに影響をうけた店舗もあったでしょうが、ヨドバシカメラが新たに集客に寄与している部分もあると思います。
また、交通ハブとしての地位に磨きがかかったのも大きいと思います。
つくばエクスプレスが開通し、秋葉原が始発駅になったのです。
不動産は個別物件単独では地域の特性を変えることができないにもかかわらず地域の特性の影響を受け、地域の特性が変わればそれが物件価格に反映されることになります。
ですから不動産鑑定では地域の特性の変化を可能な範囲で予測する必要があるのですが、変化を受け入れて時代の流れとともに発展してきた秋葉原を見ていると、街が将来も発展しつづけるかを予測するためには何を見極めるべきかが分かるような気がします。
そのような「新進気鋭の街」秋葉原が東京三大祭りの一つである神田祭りの舞台であったりするところがこの街の奥深さでもあります。